ドイツ・クリスマスマーケットの旅 ドレスデン 1
今回の旅は、ドイツのクリスマスマーケットを訪れることが主な目的でした。
ほぼ今回と似たような計画を2年前に計画したのですが、なんと母が出発当日に倒れて即入院してしまったために、その時には行くことができませんでした。私はドイツに母を迎えに行く数時間前にその知らせを受け、急遽日本への飛行機を予約し、全ての旅行のキャンセル手続きをして、ドイツに行く代わりに日本へ飛んだのでした。 奇跡的に母の回復が早く、幸いなことにまた旅行に出ることができるようになりました。春のフランス旅行で少し自信がついたので、 ぜひ今年中にドイツのクリスマスマーケットに行こう! ということになり、前回の予定よりも少し余裕を持たせ、また期間も短くしてもう一度挑戦してみることになったのです。
とは言っても十二月のドイツは、母の住む関東近辺とは比較にならないほどの寒さですし、雪が降ることもありますので、 どうなることかとおそらく母よりも私の方が心配して緊張していたかと思います。
また、旅が近づくにつれて2年前に母が倒れた時のショックとその後の色々な体験が蘇って来て、実際に母が空港に無事に到着するまでは気が気ではなかったのです。 もし、あの時に母の発病が数時間遅れていたならば、 母は確実に飛行機の中で、あるいはドイツで命を落としていたでしょうから・・・・・。
そういうこともあって、出発前にはブログには、母と旅行に行くということはどうしてか書くことができませんでした。
早朝の飛行機でフランクフルトに無事についた母と一緒に、ドレスデンに向かいました。
ドレスデンまでは飛行機の方が絶対に早いのですが、母の希望で電車にしました。 その日は途中から雪になり、車窓の雪景色をのんびりと楽しむことができました。
ドレスデンには、 ドイツ最古のクリスマスマーケットと言われるシュトゥリーツェルマーケットがあるのです。
またドレスデンは、エルベ川のフィレンツェと謳われたこともある、ザクセン王国の首都であった美しい街で、観光の見所もたくさんあります。
ただし、第二次世界大戦の終わりごろに、連合軍による激しい空爆に合い、 その美しい街はほぼ壊滅的に破壊され、また大勢の人が命を失うという悲しい歴史を持っています。
その後は、旧東ドイツの一部となり、 それから年月をかけて、少しずつ修復作業が進み、今のドレスデンの姿になっています。 特に、東西ドイツの壁が落ちてからは、急速に修復が進みました。
実は私は、1990年代の初めごろにドレスデンを一度訪れたことがあります。 ツヴィンガー宮殿の美術館にある、ラファエロのマドンナの絵を見に行くというただ一つの目的で、 車椅子の友人を手伝いながらドレスデンに行きました。
その時のドレスデンは、 旧東ドイツの無機質な建築物と、王国時代の素晴らしい、しかし空爆によって真っ黒に煤けた立派な古い建築物のコントラストが非常に印象的だったのを覚えています。 確かに、エルベ川のフィレンツェと言われるような光景もあったのですが、おそらくその時にはまだまだ各建築物の修復が進んでいなかったのでしょう、 あまり観光をするところもなかったような覚えがあるのです。 わー素敵なところね!! と単純にはいうことのできない、アンバランスさと表現し難い暗さがある街で、否応無しに心の中にそれとない違和感が生まれた覚えがあります。 レストランやカフェも、 当時はそんなにたくさんありませんでした。
一番記憶に残っているのは、駅から旧市街に歩いて行く途中に道の真ん中に突如、巨大な瓦礫の山が現れたことでした。
なんでこんな街の真ん中に瓦礫が積み上がっているのか??????
あとで、それが、空爆で完全に破壊されたフラウエンキルヒェ(聖母教会)ー修復前ーだったことを知ったのですが。
今回は、ドレスデンの雰囲気が、まるで別の街かのように変わっていることに驚きました。 また、もちろんクリスマスマーケットのシーズンであることもあるでしょうが、 たくさんの観光客で賑わい、 前に見たはずの明らかに旧東ドイツのものとわかる無機質な建築物もほとんど目にすることがなく、代わりに賑やかなショッピングモールや華やかな新しいビルが立ち並んでいました。 王国時代の美しい建物があちらこちらに立っていて、その前には新しく敷かれた石畳の道がありました。
あの時、瓦礫の山だったフラウエンキルヒェも見事に修復され、 美しくそびえ立っていました。
母は、日本からの長いフライトの後に4時間半も電車でドレスデンまで来ましたので、その日はもう何もせずに休む必要があるかと思ったのですが、思いの外元気で、早速、一番古いシュトゥリーツェルマーケットに繰り出しました。
ドレスデンは、 クリスマスのお菓子、シュトレンの発祥の地でもあります。 毎年クリスマスマーケットではシュトレン祭りが開かれます。 残念ながら今回はそれは逃しましたが、 クリスマスマーケットでは様々なパン屋さんのシュトレンが売っていました。 上の写真は、その場でシュトレンを作っているところです。
こんな釜で焼いていて、なんだか楽しい・・・・・・
また、ドレスデンからそれほど遠くはないエルツ地方の可愛いお人形を扱っているお店もたくさんあります。 作っている工房もクリスマスマーケットにはありました。
残念ながら今回は日程と交通事情のため行きませんでしたが、ドレスデンからほど遠くないところにザイフェン村というところがあります。そこは、こうしたお人形を製作している村で、たくさんの工房やお店があり、それらを一つ一つ巡ってみるのもとても楽しいのだそうです。
ドレスデンのクリスマスマーケットでも、 それぞれのお店に置いてあるお人形の表情が違うので、とても楽しいです。
あちらこちらで子供が遊べるものも・・・・・
もちろん色々な食べ物もを扱う屋台もたくさんあります。
この日は雨が降ったり止んだりで、片手に傘を持って、もう片手で母が迷子にならないように腕を組んだりしていたので、あまり写真は撮れませんでした。
もう4時になると日が沈み、暗くなります。 そうするとクリスマスマーケットはライトアップされてさらに美しくなります。
そうそう、買わなかったけれど、このお店が面白かったです!
これ、なんだかわかりますか?
おままごとの台所みたいでしょう?
でも、これ、インセンス(お香)立てなのです!! 中にお香を入れて、コンロのところから煙がもくもく出てくるようになっています。 他にも、小さなストーブの形をしたものなど色々と変わったお香たてがあって、とても楽しかったです。
ドイツのクリスマスマーケットはいくつか経験していますが、 こういう面白いお香たてを見たのはここが初めてでした。
今回は、旅の初めの三泊はこのドレスデンに泊まったのですが、 このシュトゥリーツェルマーケットに面したホテルを予約していました。
母が、長いフライトの直後の体調で、また、この寒さの中でどれだけ外を歩くことができるかわかりませんでしたので、万が一ずっと休まなくてはならなかったとしてもクリスマスマーケットを楽しめるように、目の前に見渡すことができるお部屋をお願いしました。
幸い母が想像以上に元気で、 ホテルに閉じこもっていることもなかったのですが、 それでもこのお部屋は本当に最高でした。
朝起きても、 観光の合間に戻ってきても、そして夜は疲れてお部屋にいても、 いつもいつもクリスマスマーケットを見下ろし、たくさんの人たちが心からくつろいで楽しんでいる華やかな雰囲気やクリスマスの音楽を聴いて、幸せな気分に浸ることができ、母も大変喜んでくれました。
夜は、クリスマスマーケットは9時か9時半頃には終わり、 広場は驚くほどに静かになりますので騒音に悩まされることも全くありませんでした。 ドレスデンの後は、普通のホテルの一室でしたので、いかにこのお部屋が素晴らしかったか後になっても思い出されました。
by tomomato
| 2017-12-14 05:35
| お出かけ
|
Comments(5)
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francana at 2017-12-15 23:34
お母様とのドイツ旅行、実現してよかったですね。
きれいに輝く広場を見下ろすお部屋だなんて、お母様にとってもよい思い出になったことでしょう。
考えてみれば、大戦中のドイツ国内の被害は語られることが少ない印象ですが、世界から見れば日本も同じなのかしらと思ったりもしました。原爆はまた別のことですが・・・
ドレスデンの歴史は知りませんでしたので、tomさんのおかげで勉強になりました。ザクセン王国・・・聞いたことのある名前が現実味をもってきます。シュトレンの発祥地でもあるのですね~
ドイツのクリスマス・マーケットは、いつか行ってみたいあこがれです。
きれいに輝く広場を見下ろすお部屋だなんて、お母様にとってもよい思い出になったことでしょう。
考えてみれば、大戦中のドイツ国内の被害は語られることが少ない印象ですが、世界から見れば日本も同じなのかしらと思ったりもしました。原爆はまた別のことですが・・・
ドレスデンの歴史は知りませんでしたので、tomさんのおかげで勉強になりました。ザクセン王国・・・聞いたことのある名前が現実味をもってきます。シュトレンの発祥地でもあるのですね~
ドイツのクリスマス・マーケットは、いつか行ってみたいあこがれです。
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tomomato at 2017-12-16 18:11
francanaさん、 本当に実現してよかったです。 今になって、しみじみと幸せ感と感謝の気持ちに浸っています。 笑 無事に終わってよかった。
このお部屋は本当に素晴らしかったです。 こんな体験は今までの人生でもありませんでした。 いながらにしてクリスマスの中にいるような感じでした。考えていたよりももっともっとよかったです。 ドイツは、もしかしたら日本以上にこっぴどくやられているところが多いです。 街ごとそっくりなくなってしまったところが多く・・・・ ただ、 違いは、ドイツ人はそれをまた元のように復興するエネルギーを持っているということでしょうか。 負けた国の遠吠えかもしれませんが、 ドレスデンの空襲も国際的に非難されたらしく(ドレスデンには軍に関した施設などは一切なく、この空襲は一般市民=女子供 を皆殺しにするために行われたのです しかももう戦争の勝ち負けがはっきりしている時に) 原爆と同じような状況であり、連合国の非情さに怒り呆れる思いがします。ドイツ人は、その後、 ナチスドイツの反省というか自分たちの暗い過去を恥に思い自分の国が大嫌いという人たちも結構多く、 やられたことは仕方がなかったと受け入れる傾向があるようで、そこも日本ととてもよく似ていると思うのです。私は歴史はあまり興味がない方なのですが、 ドイツに行くたびにその過去を目の前に突きつけられ、 襟をただして向かい合わないと、 と思わされます。
そう!シュトレンはドレスデンなんですよ〜〜〜!!!
このお部屋は本当に素晴らしかったです。 こんな体験は今までの人生でもありませんでした。 いながらにしてクリスマスの中にいるような感じでした。考えていたよりももっともっとよかったです。 ドイツは、もしかしたら日本以上にこっぴどくやられているところが多いです。 街ごとそっくりなくなってしまったところが多く・・・・ ただ、 違いは、ドイツ人はそれをまた元のように復興するエネルギーを持っているということでしょうか。 負けた国の遠吠えかもしれませんが、 ドレスデンの空襲も国際的に非難されたらしく(ドレスデンには軍に関した施設などは一切なく、この空襲は一般市民=女子供 を皆殺しにするために行われたのです しかももう戦争の勝ち負けがはっきりしている時に) 原爆と同じような状況であり、連合国の非情さに怒り呆れる思いがします。ドイツ人は、その後、 ナチスドイツの反省というか自分たちの暗い過去を恥に思い自分の国が大嫌いという人たちも結構多く、 やられたことは仕方がなかったと受け入れる傾向があるようで、そこも日本ととてもよく似ていると思うのです。私は歴史はあまり興味がない方なのですが、 ドイツに行くたびにその過去を目の前に突きつけられ、 襟をただして向かい合わないと、 と思わされます。
そう!シュトレンはドレスデンなんですよ〜〜〜!!!
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papricagigi at 2017-12-19 00:02
すっかり遅くなってしまったけれど、お帰りなさーい♪ お母さまとのドレスデンの旅だったんだ!去年、急遽tomさんが帰国されたときのこと、覚えてる。元気になられたお母さまと、クリスマスの雰囲気あふれる街を訪ねることができて良かったね〜☆ 長旅のあと到着したその日に観光をされたなんて、お母さま、本当にお元気になられたんだ。良かった〜。
このホテルのお部屋からの景色、最高!明かりが灯ると賑やかなオルゴールをあけたみたいでワクワクしちゃうね〜。シュトレンの故郷なんだ〜。持ち帰ったのはココのものなんだよね?さぞかし美味しいんだろうな〜。
このホテルのお部屋からの景色、最高!明かりが灯ると賑やかなオルゴールをあけたみたいでワクワクしちゃうね〜。シュトレンの故郷なんだ〜。持ち帰ったのはココのものなんだよね?さぞかし美味しいんだろうな〜。
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papricagigi at 2017-12-19 00:03
書き忘れた! このお香立て(?)かわいいっ!! 必要なくても思わず買っちゃいそう〜。良い値段してるね…
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tomomato at 2017-12-19 01:10
papricaさん、 ありがとう〜 本当に母と、リベンジドイツ旅行ができて嬉しかった〜。 あの時には本当にパニックで、悲しみと不安で押しつぶされそうだったからさ。 こんなにも元気になってくれて本当に嬉しかった〜。到着してあまりに元気すぎたので、翌日、つい調子に乗りすぎて歩きすぎちゃったのが失敗だったけれど、期間中とても元気で私もびっくりするくらいでした。 このホテルのお部屋は本当最高だったよ、こんなにもお部屋って大事なのか〜ってつくづく思った〜。 そうそう、くまとさんに持って帰ったのも、ここのマジパン入りだよ〜本当に美味しい! このお香たて、面白いでしょう? 他にもいろんな(薪ストーブの形のものとか!)のがあって、若かったら絶対に買ってたと思う。 値段・・・・ 確かに!! 決して安くないよね!! でも品質もよかったよ!