全てが着々と進んでいます・・・





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改築・修復中の家は、 大きく分けると3部分、 細かく分けると7部分の建物が続いています。 それぞれ年代が違う時に立てられ、 後から既存の建物をつなげる形で(長屋のように)建て増しされたと思われます。 いちばん古い建物は2カ所、 1600年に建てられたものであることが分かっています。 


上の写真の、 タワー部分は (将来階段と各階のバスルームになります) 、 おそらくいちばん後に付け足して建てられたもので1800年代の物であることが分かっています。  私達の家は、シンプルで貧しい農民達の家なので、ほとんど飾りのない粗末な物であるうえ、 巨大な岩の上に次から次に建て増しされたので、それぞれの階の高さが違って、部屋をつなげる時には必ず変な段差が生じていろいろと問題があるのですが、 このタワー部分はさらにお粗末な造りで、 最初から悩みの種でした。 



続きは下をクリックしてね!



kumatoさんは、この家を初めて見た時、欠点を上げて文句ばっかり言っておりました。 そりゃあ、修復を実際に計画する身としては、こんな段差があるがたがたの家はまったくもって悩みの種でしかありません。  特にこのタワー部分はちょっと押せば今にも崩れそうなお粗末な造りの上、本体との屋根の高さも階の高さも全く違うので、 はっきりいって一度すべてを取り壊してまた新しく立て直した方が早いし、安全だし、 家として使いやすいので、この部分を観察するたびに、嘆いておりました。


あれこれと悩んだあげく、結局の所この部分は残して(というか、 一応、歴史的保存建造物で屋根も残っているので、 この部分を全て壊すことは違法です)、 何とか安全上補強をしながら修復することにしました。  上の写真でお分かりでしょうか? 屋根を支えている柱、 お粗末なブロックがただ一つずつ積み重ねられたとてもやわな物なのです。 おまけに使われている木材も、 どこかで拾って来た廃材なのでは? と思われる代物です。






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ここが一階部分です。 




先週から、 他部分と平行して、ついにここの修復作業に取りかかりました。 




まずはここ・・・・





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さて、上の写真で分かるでしょうか。 外階段がタワーにさしかかる所に最上階の干し草部屋のドアがあります。  ここは、この部屋から外に出ようとすると足場がなく、階段の段と段の間に出ることになり危険でした。 また、階段が終わる足場の高さと、 タワーの中にある隣の部屋の足場の高さと違って、 これまた不便でした。  おまけに、 タワーの中の階段を上って最上階のその部屋に入るためには60cmくらいの段差があって、これまた不便そのもの・・・・ (って複雑すぎて文章では分からないのでは?)



よくよく観察してみると、 このアーチ状の階段、 非常に急勾配なのですが、なぜか最後の3段だけ勾配が緩くなっているのです。

若き建築家アンドレアとkumatoさんはさんざん頭をひねって、 上記のすべての問題を解決するためにその勾配の差を利用することにしました。




修復後



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さて、これが修復後の写真です。  違いがお分かりでしょうか?
最後の数段の勾配を、 そこまで上がる階段の急勾配にあわせてきつくしたのです。 そのことによって、階段は以前よりも手前、しかも一段下がった足場で終っています。  







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これで、 この部屋のドアから出て来たらいきなり階段の上ではなく、ちゃんと足場の上に踏み出すことが出来るようになりました。






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さらに、段差のあった隣の部屋のドアの前の足場を一段下げて、同じ高さに揃えることが出来ました。 





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そして、その修正のお陰で、 タワーの下から上がってくる階段の勾配にあわせてこの部屋に自然に上がる階段を作ることが出来るようになりました。  (simが木で臨時の急階段を作ってくれるまでは、ここはよっこらしょっとよじ上っていたのです!) 

一挙に全ての問題が解決することが出来ました!071.gif


ちなみに、ブロックを積み上げてある所は、足場を修正するために壁をいじったら、壁の中はほとんど腐った木とぼろぼろのブロックだったので、 新しく壁を作り直さなければならなかったそうです。  



ああ、 頭が痛い。 このタワー部分、 作業をすればする程、いかにちゃちく建てられているかが明らかになって、 作業量が何倍にも増えることになります。 一カ所壊すと全て壊れると言う感じです。 008.gif






そして翌日の午後は・・・・・・・・








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何やらガレキがさらに増えているぞ・・・・・・








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エ??????







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一階から2階に上がる階段が、 そっくりそのまま消えておりました!!! 
(上から2番目の写真参照)



は、は、 はやい。 ダニエル達、仕事が早すぎます!




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2階の階段の足場の石も取り外されて、 下の腐った木がむき出しになっています。 

この部分は将来壁で覆われて、 温水タンクなどが置かれる機械室/洗濯機等が置かれる作業室になります。 





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あ、正確に言うと1856年建造ですね。 残念ながらこの数字が書かれた木も、 壁に覆われることになりそう・・・・・




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ダニエル達はてきぱきとコンクリートを注ぐための骨組みを仕上げていました。 この部分は階段を支えるための既存のアーチをコンクリートで補強します。  建物自体がとてもあやうい構造なので、要所要所、 柱となる部分をコンクリート構造で補強して、其の後壁を作るそうです。


ダニエル達、 コンクリート作業は本当にプロ中のプロ、 さっさと信じられないスピードで、 その姿にほれぼれする程です。  私はこの翌日、家に行かなかったのですが、kumatoさんによると、 ’まるでもとからそこにあったかのように ’ 奇麗にアーチが仕上がっていて、 将来ここが誰からも見られることのない室内になって、しかも機械室なんてもったいない! と思ったそうです。 






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さて、 来客用のテラスを作るために掘った穴から出て来たとなりの家の古い水道管・・・・・
ここをわざわざ掘ったのはこの部分の貴重な土を畑に利用するためであることと、さらに修復中の家から出るガレキを捨てるためです。 石畳のテラスの下に良い土を残すのはもったいないのと、ガレキの捨て場を作ることが出来るので、一石二鳥と言う訳なのです。  

ただ、石畳のテラスをつくってしまうと、もしこの古く錆びた水道管が壊れた時に、 テラスを壊して修理しなければならなくなります。 そこで、 kumatoさんと水道屋のアンドレアが話し合った結果編み出されたアイディア・・・・・・  

一度この水道管をパイプで囲ってから埋める 

です。 

もし水道管が壊れたら、テラスの両端を掘って、 パイプに収まっている水道管を切って取り出し、新たな水道管をパイプの中にくぐらせて取り付けるという何と頭の良いアイディア!???  こうすればテラスを全て取り壊す必要はありません。 


すごいアイディア。 うまく行くのかしら??   出来たらこのぼろい水道管、壊れないで欲しいのですが。








おまけ




ディスコルームのニーシェ、 大理石の石が敷かれました。 ここは当分の間棚を付けずに、 彫刻や花を置くスペースにしようか、 と話しています。 この大理石、 ニーシェに敷くにはちょっと薄いのですが、実は曰く付きの石なのです。  あの、 ミラノの大聖堂 に使われたのと全く同じローズ色の大理石なのですよ・・・・・・  この大理石が産出されたこの近くの鉱山は、残念ながらもう閉じてしまったので、新たにこの石を手に入れることはできません。  知り合いの方は、その方の家の一室の床にこの大理石を張っていて、 その余り板がなぜかkumatoさんの手に入ったのでこのニーシェに使ってみました。 


kumatoさん、 来るお客さんに、 ’これはミラノの大聖堂の石なんですよ! ’ とストーリーを話すためだけにここに敷いたに違いない。 003.gif






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そして豚の部屋の壁も、 kumatoさんが下地を整え、クォーツ砂いりの漆喰で塗り始めました。 






修復・改築、 順調に進んでいます。
by tomomato | 2013-02-03 18:52 | 石の家の話 | Comments(4)
Commented by la_mia_coccolina at 2013-02-03 22:39
tomさん、こんにちは^^
kumatoさんの頬は大丈夫ですか?こういう作業は怪我も付き物なのできっとtomさんもご心配でしょうね。。。お大事になさって下さいね。
毎日お邪魔する度に風のように素早く作業が進んでいて本当に驚きます!
初めてお邪魔した頃にはどのくらいの時間が掛かるのだろう。。。と漠然と思っておりましたが、、着々と形になり、毎回「おぉ~!おぉ~!」と声を出してしまう程に驚き、そしてワクワクしてしまいます^^
ミラノの大聖堂と同じ大理石、クウォーツ入の漆喰。。。そして一番古い部分は1600年代。。。ガリレオやカラヴァッジョなどなど、世界史の時代ではありませんかっ!ワクワクせずにはいられないお話、そしてそういう所に住んでいらっしゃるなんて興奮してしまいます^^
次のお話も楽しみにしておりますね♪
お怪我だけにはくれぐれもお気を付け下さいませ*^^*
Commented by tomomato at 2013-02-04 07:22
la mia cocolinaさん、 はい、おかげさまでkumatoさんの頬は、3、4日後には大丈夫になりました。 そしたら今度は風邪を引いてしまって・・・ きっと疲れているのだと思います。 こうしてkumatoさんが頑張ってくれているから、あれこれと進んでいるのだと思うので、感謝を忘れないで暮らさないと・・・ ついつい忘れちゃって^0^  楽しみにしてくださって、本当にありがとうございます。^ー^ 家の話はかなり工事のマニアックな話なので、 退屈だと思うのですがどうぞこれからもおつきあいください。^ー^
Commented by Saki at 2013-02-05 13:36 x
うっわー。ワクワクします。作業する所をみてみたい!階段の最初は、迷路みたいですね。既存の部分を生かしながらうまく納めましたね!すごい。
Commented by tomomato at 2013-02-05 17:31
Sakiさん、 ははは、 こういうマニアックな工事のディテールに興味をもってくださるのは、Sakiさんだけだと思いますよ! ^0^ 一応記録のために書いているのですが、誰が読むんだろうと思って・・・  わくわくするなんて書いてくれるSakiさんがいると言うだけで記録のしがいがあります! 


イタリア@アルプスのふもと do田舎暮らしー自然と美しきものとの暮らし  大きな岩の上に佇む石の家でART*こころとこころのつながり*くいしんぼ


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