暖炉あれこれ
現在修復・改築中のお家には、 暖炉がいくつかあります。
今日は暖炉あれこれの写真をご紹介したいと思います。
上の暖炉は、2階の一室にあります。 将来リビングルームの吹き抜けの部屋になる予定・・・・
この暖炉の面白い所はこれ・・・・・
火をおこす場所の石をこのように丸く削ってある所です。 下の台石を深めに削ってあるのは普通なのですが、このように丸く囲いにして石を削ってあるのは今まで見たことがありません。
この部屋の床はいったん全て外して( 既に下に落ちかかっている部分もあるのでとても危険 )、まったく新しく吹き抜けにするので、 いったんこの暖炉も外すのですが、 またこの通りにもとに復元して使う予定にしています。
こちらはゲストルームになる予定の一室の暖炉
小さなお部屋の小さな暖炉なのですが、 とてもシンプルで気に入っています。 暖炉の右横、床になぞの穴があります。 手前に石のフタがあるのが見えますか??? これはいろいろな人にいったい何のための穴なのか聞いたのですが、 よくわからないのです。 石大工さんは、これは下の部屋から上にはしごで人が移動する穴だと言うのですが、それにしちゃ小さくて。 当時の人が現代人より小さかったとはいえ、あまりに小さすぎる気がします。 子供でもちょっと苦しいくらい小さいのです。 物を受け渡しした穴なのか? 暖気を下の部屋から流す穴なのか???
謎です。
これがその下の部屋の暖炉。 この部屋は天井がドーム型になっていてとっても雰囲気のある部屋です。 暗いのが玉に傷ですが、 夏の暑い日には、 こういう窓の小さな涼しい部屋に入るとほっとするかも?
打って変わって、休憩室にしている部屋の暖炉。 将来はベッドルームになります。 この部屋は60年代くらいに改装された様です。 元は、上の様な立派な大きな暖炉だった形跡があるのですが、(暖炉の横が戸棚になっていて、 その戸棚を開けると、元暖炉の一部だった形跡が!!! ) 当時のスタイルでちょっとキッチュな暖炉になっています。 それが私には凄く残念。
上の写真のような、 大きな昔の暖炉の方が私は好きです。
ただ、こうした大きな暖炉は、 冬場、寒〜〜〜〜〜い 風が煙突から吹き込んで来て部屋を暖かく保つためには、 ちょっと・・・・・ なのです。 今住んでいる家にもとても立派な昔ながらの暖炉があり、 秋冬はそれでグリルをしたり、 拾って来た栗を煎ったりするのですが、 燃える火を眺めながら凄くいい雰囲気になりはしても、本当の熱効果を考えると、それほど暖かくはならないのです。
この暖炉も立派でしょう???
村に、82歳のマリアという元気なおばあさんがいて、 毎日の様にうちに様子を見に来てはしばしおしゃべりをして行くのですが、 そのおばあさんが昔この家々がどんな様子だったかをいろいろと教えてくれるのです。
例えば、私達がキッチンやリビングルーム、あるいはエントランスホールにしようとしている一階の家畜小屋には、 マリアとマリアの家族が牛やヤギを沢山買っていて、毎日朝5時におきてミルクを絞りにきたとか・・・・・・ 40年くらい前までの話だと思います。 まだ若きマリアが毎日ここに働きにやって来たことを思うと、なんだか不思議な感じがします。
でもむこうにしてみれば、 ヤギや牛を飼っていた部屋に、 私達がキッチンやリビングを作ろうとしていることはずいぶんケッタイなことなのではないか? と思うのですが・・・・・・・・。
この立派な大きな暖炉のある部屋は、 マリアのお父さんが(70年くらい前までの話?)が、 豚を屠殺した後、サルシッチャ等に加工していた部屋なのだそうです。 この大きな暖炉に巨大な鍋一杯にお湯をぐらぐらと湧かして、お父さんが働いていたのよ! と話してくれました。
その前は多分人々が住んでいたお部屋だと思います。
こんなアンティークな部屋が、 今目の前に生きている人の思い出の中では、沢山の人達が集まって作業をしていたお部屋だ・・・・・・・ と言うことに、歴史は人々の生活の積み重ねなのだと言うことを改めて思い知らされ、 ジーンとします。
そして、 この廃虚となってしまった家々に、まだ生き生きとした生活が営まれていた日々を知っている人に今まだ、出会えて良かった!!! とマリアに会う都度に思います。
このお部屋には、こんな物も落ちていましたよ・・・・・・・
最後は、ディスコルームの暖炉・・・・
暖炉を覆うようにしてブロックで壁が作られていて、 (ディスクジョッキーボックスの一部????) それをたたき壊した直後に撮った写真なのでなんだか悲惨な状況ですが・・・・ (今は奇麗に片付けられています)
この暖炉もとっても大きくて立派。 使いやすそうです。
この部屋を片付けた時に火を焚いてゴミを燃やしたのですが、 何と煙が逆流してきました! 外から見ると煙突が塞がれていて・・・・・ ぜひとも塞いでいる板を外したいのですが、何しろ急勾配の屋根なので誰に頼んだら良いか模索中です。
ちょっと怖い・・・・
煙突がまた開けば、 ここでグリル等して楽しめそうです。
この家は、おそらくとても貧しいシンプルな農民達が住んでいたので、 暖炉もとっても素朴でシンプルな物ばかりです。 もっとお金持ちが住んでいたお家や、豊かな農民のお家を見てみると、 暖炉の上の梁も立派な石作りでほれぼれするようなものが多いので、その度にため息をついて、 ああ、家のもあんな風だったら良かったな〜〜〜〜 と思うのですが、 ないものねだりですね・・・・・
一度、それぞれの暖炉に、かわりばんこに火を入れて、グリル等をしてみたいと思っています。
by tomomato
| 2012-09-10 07:57
| 石の家の話
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Comments(6)
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la_mia_coccolina at 2012-09-10 08:35
tomさん、暖炉がたくさんあるのですね~。
田舎家にあるような大きな大きな暖炉にとても憧れます。
tomさんのお家の歴史の中にいたマリアおばあちゃんのお話はジ~ンとしますね^^
マリアおばあちゃんの記憶の中にある生き生きとした空間に、別の形でtomさんやkumatoさんがまた命を吹き込んでいるのってすごいなぁ。。。こうして歴史が刻まれていって、お家も嬉しいでしょうね^^
田舎家にあるような大きな大きな暖炉にとても憧れます。
tomさんのお家の歴史の中にいたマリアおばあちゃんのお話はジ~ンとしますね^^
マリアおばあちゃんの記憶の中にある生き生きとした空間に、別の形でtomさんやkumatoさんがまた命を吹き込んでいるのってすごいなぁ。。。こうして歴史が刻まれていって、お家も嬉しいでしょうね^^
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yuriko_chan at 2012-09-10 14:58
暖炉のある家・・・( ・∀・) イイネ!
っていかないと暮らせない?
っていかないと暮らせない?
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tomomato at 2012-09-10 16:11
la mia cocolinaさん、 1600年代からずっといろいろな人達の人生の歩みが刻まれたお家なのだなあ、と観念だけでなく目の前の人から語られて、改めてジーンとします。 マリアおばあちゃんは本当に明るくて楽しい人で、毎日声をかけてくれるのです。 私達の歴史はどのように刻まれるのかな。
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tomomato at 2012-09-10 16:14
yurikochanさん、 これらの暖炉は、 優雅な暮らしとはほど遠い暖炉ですが、 今のうちで使っている暖炉も雰囲気があって、 火を焚くと同時になんだか自分が昔の人になったようなきがします。
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yumiko_aoki_4649 at 2012-09-13 23:44
石のおうち、を語り手にして、しっとりと美しい童話が生まれそうな気すらしてきますね。石の家のstoria、これからも楽しみに拝見します!
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tomomato at 2012-09-14 05:52
yumiko aoki 4649さん、 本当に、この石のおうち、たくさんの人達や家畜達や、座敷童や妖精やらを何世代にも渡ってみて来たと思うので、たくさんたくさん語ってくれることがありそうです。 このお家のお話の一部に私達が付け加えられると思うと、 光栄??です。 部屋のどの一隅を見ても、歴史とお話が隠れているみたいで。これからもどうぞよろしくお願いします!