アーチを開く
ここの所、テラスの制作と平行してkumatoさんが若き天才建築家アンドレアと取り組んでいたのは、階段の下の アーチを開く ことでした。
写真の右上に階段があるのが見えるでしょうか。 その階段の下に、ドアがあります。 その、ドアのすぐ右手に、上部がアーチ型に組まれた壁があるのが分かるでしょうか? その壁の前に小さな石のベンチが作られています。 (写真では、空き缶が置いてあります)
そのベンチある壁は、おそらくこの家が建てられた当時は開かれたトンネル型アーチだったに違いなく、その後、階段が崩れ落ちる危険性を避けるために、後から塞がれたのだろうとkumatoさんとアンドレアは考えたようです。
そして、 この二人は、何と大胆にも
その塞がれた??? 壁を壊して、元々のトンネル形のアーチにしよう
と思いついたようです。 チョット、アブナイヨソレ
私は、 階段自体がとても重く、 (何せ石を積み重ねた物ですから!)壁を開けたら果たしてその重さをこの土台が支えきれるのかどうか? 階段が崩れて来たらどうするのだろう?? と思ったのですが・・・・・・・
アンドレアとkumatoさんは、 すっかりアーチを開ける考えに取り付かれ!?? すぐさま壁を壊し始めました!!!
といっても、慎重に、慎重に、まずこちら側半分の石を外し、
それから、向こう側から、ゆっくりと上から石を一つ一つ取り外しました。
石を外している最中に、 その上の3階まで続く階段が頭の上に崩れてくる可能性だってある訳ですから、 よくもまあこんな
上から半分取り外した所・・・・・ 上から半分くらいに大きな石が挟まっています。
ここまで壁を壊した所で、 kumatoさんのお友達の石大工のマエストロ、パオロを呼んで、アドバイスを頂くことになりました。 パオロ、 アンドレア、 kumatoさんと、 3人の男衆がじっくりとこのアーチとそのまわりの構造を研究しながら、しばらく話し合っていました。 その後、 アンドレアとkumatoさんは、すっかりうれしそうにお買い物にいそいそと出かけました。
買って来たものは、 カルキと何かの物質が混ざったミックスの粉のザック。 昔の石の建築物は、石と石の間にカルキを詰めて固定しています。 今で言うセメントの役割を果たしています。
アンドレアは、 早速カルキと水をあわせてこねています。
そのカルキをさらに手の混んだことに、なにやら小細工をしています。 元々のカルキの粉の色は、真っ白なのですが、 何百年前に建てられたこの家に使われているカルキは、年月とともに、所によっては苔がはえ、所によっては雨水とホコリと太陽の照り返しで、変色しています。 そこに新たな白いカルキを使うと目立つので、目立たないように茶色っぽい色を混ぜて、古くさく見せかけようとしているようです。
そのカルキの混ぜ合わせた物を、 クッキーを絞り出す袋に入れて・・・・・アーチの内側の石と石の隙間が空いている所に注入して行きます。(ほんとはちゃんとした注射器みたいな機械があるのに、クッキーの袋を使う所がアンドレア! ) その後直ぐに霧吹きで水分補給。 (どうしてだったか忘れた・・・・)
とにかく石と石の間に隙間があると、そこにかかる上の階段の石の全重量 (何百キロ? トン?) によって崩れる可能性があるからです。 アンドレアは、 アーチの内側と、外側に、這いつくばるようにしてありとあらゆる隙間にカルキを注入して行きました。
kumatoさんは、そばでカルキの調整。 この人、色にうるさいから。 (二人とも、きちゃないな・・・・)
がんばれ、アンドレア! フレーフレー アンドレア!
という訳で、こんな感じに仕上がりましたよ! 階段の下のアーチが開かれました。
kumatoさんとアンドレアは、美しい、美しいと感動しています。
私は、 内心、
’ 別に閉じていて、 ベンチがあっても良かったのにな・・・・・ ’
と密かに思っているのですが、 言葉には出しません。
ああ、 美しいというだけではなく、実は、 家のこちら側は、水が家の中に流れ込むという大きな問題があるので、何やらそれを防ぐ意味もあるのだそうです。
(穴と開けるとどうしてそれが大丈夫になるのかは、よくわからなかったけれど)
これで終ったものと思っていたら、とんでもありませんでした。 それから1、2週間後、またもやアンドレアがやって来て、 今度は二人でセメントを混ぜ始めました。 カルキが完全に乾くのを待っていたようです。
アンドレアったら、セメントを鼻歌歌いながら混ぜていて、 私が写真を撮っていると、
’男の子2人が泥遊びをしているんだよ〜〜〜〜〜〜 うきうき! ’
ととってもハッピーに言っておりました。 この人、本と古い家の修復が楽しいんだな〜〜〜
混ぜたセメントを抱えてkumatoさんはアーチに向かい・・・・・・
セメントをバケツからすくっては、
アーチの内側から流し入れています。
アーチを支える側の壁の、石と石の隙間を全てセメントを流し込んで埋めようと言う考えのようです。 こうすれば、 アーチにかかる階段の全重量がこの壁を押し崩す危険が少なくなります。
外側からセメントで固めるのは格好が悪いですが、 内側からセメントを流し込んで隙間を全て埋めることで、 見かけは変えずに、確実に強い土台を作ることが出来ます。
アンドレアは、 前回、反対側の石と石の隙間をカルキで丁寧に埋めていましたが、 何と、わざと数カ所埋めずにいたようです。
そうすることで、セメントが確実に、こちら側の壁に流れ込んでしっかりと壁全体を固定するかどうか確認するつもりだったようです。
見事にセメントは、それらの小さな穴から流れ出したよう。 ちゃんとセメントが壁全体に流れ込んだことを確認して、 セメントを奇麗に拭き取り、カルキを改めて詰め直しています。
セメントが見えたらかっこわるいもんね?
しかし、細かな芸だな〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 とひたすら感心するわ・・・・・
さすが天才アンドレアとkumatoさん。
アーチのオープニング、完成!!!!
この部分は、 いくつものアーチが組み合わさって作られていて、何とも言えない雰囲気を醸し出しています。
やっぱり開けた方が面白かったかな?
この間のパーティの時に、何人もの人がこの階段を下りて、 今の所は、命が大丈夫だったし????
by tomomato
| 2012-07-18 06:10
| 石の家の話
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Comments(6)
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oz55mama at 2012-07-18 07:47
tomoさんおはようございます。
気の遠くなるような作業を楽しそうに、
kumatoさん達やってますね。
元の姿を取り戻した石のアーチが素敵です。
気の遠くなるような作業を楽しそうに、
kumatoさん達やってますね。
元の姿を取り戻した石のアーチが素敵です。
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yuriko_chan at 2012-07-18 14:52
世界遺産登録しなくちゃ
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tomomato at 2012-07-20 00:23
oz55mamaさん、 本当にそうですよね。 凝っているというか。この部分はいくつもアーチが重なっているので、家全体の中でもkumatoさんが気に入っている部分なのです。 ちょっと私の目には危なく見えるのですが、 マエストロが大丈夫と言ってくれているので、 ほっとしています。
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tomomato at 2012-07-20 00:24
yuriko chanさん、 このあたりのこうした石造りの家を世界遺産にしよう! と頑張っている人たちもいるようです。冗談ではなくって。 でもそしたらイタリアは今以上にさらに世界遺産だらけになってしまいますね!
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at 2014-01-22 14:05
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
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tomomato at 2014-01-22 22:18
鍵コメSさん、^0^ 今頃この昔の記事を見ている人はいないですから、鍵コメにしなくても大丈夫〜〜〜 ! そう、 このアーチ、怪しいでしょう? でも今の所だいじょうぶそう・・・ でも一カ所石が割れてるところを私は見つけてしまって、それが前からなのか新たになのか???? 言っても聞いてもらえませんでした。 一気に崩れることはないでしょうから、 崩れかけたらまた塞げば良い?? (爆) 今の所この階段、使っても大丈夫です。