テラス作成中! 2

さて、 無事にトイレが貫通?した後は、テラスの作成に取りかかったkumatoさん率いる男性陣。

まずは、このようないかつい塀を家と平行に作り始めました。 

二階のベランダから見下ろした所です。写真の手前に家があります。 まるでスイミングプールでも作るかの様・・・・ 
(向こう側に見える石ころは、 元々の石塀を崩したものです。)
テラス作成中! 2_a0278382_442234.jpg
 



実は、これ、私はとても不本意だったのです。 出来ることなら、コンクリートは使わずに、ドライウォール (セメントなしで石を積み上げて行く工法 )で塀を作って欲しかった!!!

全て昔の工法にこだわる友達の若い建築士アンドレアは、 

’なんでコンクリートなんか使うんだ!??? 馬鹿げている!!エコロジカルじゃない!!!! (ドライウォールならば、何百年かたってからも、 テラスを崩したい時にも、建築廃材を生むこと無く、単に石ころに帰るだけだから、エコロジカル )
もしコンクリートを使うのなら、 石なんかはめ込まないで、コンクリートの壁でいいじゃないか!?? その方が真実だ!!!’ 

とかなり憤慨していましたが、 私もちょっぴり同感。 


kumatoさんも、 本当は、出来たらドライウォールにしたかったかも? 

ここ、Ossola地方には沢山のこうした昔の石の建物が残っており、その多くが崩れ去る運命に直面しています。 kumatoさんのお友達に、そうした家々を、出来るだけ昔の工法にこだわって修復、保存することに生涯をかけていらっしゃる、年をとった石大工のマエストロがいます。名前はパウロ。私たちは、本当は、そのパウロに私たちの家の修復・改築を手伝っていただきたかったのです。けれども、今はその方は別の家(実は現在住んでいる家のお隣)の改築工事に関わっていて、 全く時間が取れないとのことで、 一刻も早く作業を始めたい私たちとしては、その方に頼むのはあきらめなければなりませんでした。007.gif  その方は、 アドバイザーとしてならば、 いつでも来て、見てくださると親切にも言って下さったので、 今はそのような形で関わっていただいています。

その代わりに白矢がたったのが、ダニエル君。  彼は、若くして起業した石大工さんです。 

彼の取り柄は、 本当に正直で、信じられないほど働き者。066.gif066.gif おまけに仕事が早い。 その仕事っぷりには、毎日頭が下がる思いです。 また、 自分の仕事に本当に誇りを持っている、気持ちのよい若者です。
 
この間、こっそりkumatoさんに告白したそうですが、 誰かが彼に、 ‘そんなに一生懸命、早く働かない方がいいぜ、損するだけだぜ!’ と忠告したそうです。(さすがイタリア? いや、こういうの、万国共通?)   それが ’誰か ’ ということは、今は言えないけれど、と言っていたそうです。   そんな忠告を受けても全く不思議ではないほどの働き者です。  

けれどもただ一つの欠点は、 ’昔の家’ ’昔の工法’ についての知識と経験が無いのです。 

この地方では、古い石造りの家を修復する場合も、普通は、現代的な工法を用いて確実で安全、かつ安価な方法をとるので、 彼が今まで関わって来た修復の仕事でも、そのようなやり方でしかやって来たことが無いようです。 長年の経験と知識のあるパウロのようなマエストロには、その点ではかないません。 また、 昔のやり方で、昔ながらの家の‘美しさ’に近づけることにこだわるというセンスも、無いかも。002.gif 合理的で安全である方を選びとるタイプの石大工さんです。

しかも、この家から張り出した形になる大きなテラスは、 かなりその幅が広く、また丈が高くなることもあり、 安全を考えてコンクリート塀で安定することになったのです。 アンドレアは、家だって、ドライウォールで10mの高さにだって建っているのに! と主張したのですが、(実際、彼自身が、そうやって自分の家を改築中です。ただ、壁の一方にガレキが入るテラスと、家ではちょっと違ってきますが) ダニエルにお願いする限り、 ドライウォールという選択はほとんどありませんでした。 

kumatoさんも、 もし自分一人でやるのなら、もちろんドライウォールでやったかも知れないと思います。  (いや、どうだろう? 今の家のガーデンはドライウォールだけど、 中庭ーピアッツアは、セメント流してるな・・・・・ピアッツアの大きさもかなりなので、安全を考えてそうしたのかな? )   
最終的には、安全性を考えて、ドライウォールではなく、 セメントを使った方が良いと、kumatoさん自身も判断したようでしたが・・・・・ 


まずセメントで基礎を作ります。そして、その上に石を積み上げて行き、後ろからセメントで固定して行きます。 積み上げては、固定し、積み上げては固定しの作業。 そして、壁が高くなる度、 既に集めてあった今まで出て来た建築廃材(ガレキ)の山を崩して平坦に詰めて行きます。 

石と石の間には、少しでも植物が入り込む隙間を作るためにセメントを余り詰めないようにお願いしました。 (いろいろとうるさい私)


テラス作成中! 2_a0278382_4445852.jpg
 

ダニエルは、 本当に真っすぐな性格なので、 何をやるにも超完璧、真っすぐになってしまう傾向があります。 私は、 完璧ではなく、自然と調和した有機的なフォームの方が好きなので、ひたすらダニエルに、

’お願いだから完璧にしないで、適当に力を抜いて、 真っすぐにはならないように!!!


と何回も強調し、

’オッケ〜〜 なるべく適当に、ルスティコ(昔風)にするよう努力するね!’
 
と彼も精一杯、完璧にならないように!???頑張ってくれたのですが、生真面目なダニエルには、それが難しい様・・・・・


(私は全く逆だな〜〜〜 真っすぐにする方が難しい!) 



ガレキをどんどん平らに慣らしては、また壁を積み上げて行く、 その作業を何日も何日もかけてしました。 ガレキのプールの中に通してある長短何本ものパイプは、 テラスの中? の水はけを良くするためのものと、 屋根からの水を集めて、庭の(将来できるはずの)池に貯めるためのもの、 そして、 な、な、なんと、
家の反対側から、家の中に流れ込んでくる水!??? を床下に通して、こちらに逃がしてやるためのもの
です。  (これだけでも一つの記事になりそう・・・・)  



さて、どんな感じになったか、 元々の風景も含めて紹介したいと思います。




元々の元 ・・・・去年の8月、ジャングルの中です。
テラス作成中! 2_a0278382_4425320.jpg



伐採したあと ・・・・ 手前に、元々あったテラスが見えますか? これは本当に小さなテラスで、長さ2メートルもありませんでした。 建物の一番高い所だけに舞台の様に作ってありました。
テラス作成中! 2_a0278382_4432148.jpg

テラス作成中! 2_a0278382_4435495.jpg


テラスを崩した後・・・・いったん元のテラスを全て崩しました。  (石が重かったな〜〜〜 遠い目・・・)

テラス作成中! 2_a0278382_4443237.jpg


 

それから月日はたち、半年後・・・・・・・・・・・・・・・・・


そして現在

ジャーーーーン!!



テラス作成中! 2_a0278382_4452860.jpg
 何と、既にこんなに高く積み上がっています。 
それにしても、 まっすぐだなー。  選ぶ石も四角く揃った石ばかりだし、 必死に努力して真っすぐにならないようにしてこれだから、普通にしていたらどれほど真っすぐなんだろう? 


遠景

テラス作成中! 2_a0278382_4571917.jpg


凄い迫力、 なんだかもう一軒手前に家が出来そうです。 うそ・ドライウォールですが、結構かっこいい。  でもね、でもね、 やっぱり本物のドライウォールと比べるとね、その質感が全然違うのですよ・・・・・・  でも、そんなの気にする人は、マニアックな人だけかな???? 


テラスの一部、 上の写真で見ると奥の部分には、 植物を植えるために土の部分を作ることにしました。



テラス作成中! 2_a0278382_446184.jpg



この部分は、余り大きくはないし、水はけのことも考えて、ドライウォールにしてもらいました。 そして、ここにはガレキの代わりに土を入れて・・・・・ 敷地内の、 通り道になって踏みつけることになる所から、良い土をとって来てここに移しました。  その後、混じった大きな石ころを手で一つ一つ取り除く作業をしました。

でもね、 あまりにショックで写真を撮ることを忘れたのですが、 ダニエル君は、やっぱりドライウォールの技術を知らなかったようで、 コンクリを入れるときと同じように単に一列に石を並べているだけだったのです!???。(愕然005.gif  
私は、 自分でいくつか元々あった古い石塀を崩す作業をしていたので、昔の人がどのように石を交差して噛ませながら積んで安定させているか、 何となく分かっていました。 見た目は同じでも、機能と安定性は大違い!   

作業を2階のテラスからじっと見ていた私が、kumatoさんに、あれでは危険なのではないか? とちくり 指摘し、 kumatoさんも念入りにチェック。 kumatoさん自ら、やってみせて、石の長短が交差になるようにつんで、安定性と厚みを持たせて塀を作って行くのだと注意しました。

ところが、私たちがいない間にダニエル達が作業した後に見てみると、今度はkumatoさんの注意した点が冗談かと思うほど、超極端になされていて唖然!????  (アー写真が無くて残念。 本当に笑える程だったのです。) 噛ませたのはいいけれど、 あまりに大きな石を使ったため、庭の半分近くが石の板に埋まってしまっていた程!???  
 
033.gifちょっと考えりゃーわかるだろーーー!! このド素人の私だって分かるんだから〜〜〜〜〜〜!!! と思わず思ってしまった私でした。

その後数時間かかって、kumatoさんと私が積み直しました。 


ここには、 ハーブや木、お花を植えるつもりです。001.gif
テラス作成中! 2_a0278382_4472026.jpg



あ、でもね、でもね、 誓って言いますが、ダニエル君は、本当に素晴らしい石大工さんなんですよ。 コンクリートの作業の手際と技術はものすごい。 ほれぼれするくらい素晴らしいのです。
単に、昔ながらの工法は知らないし、もしかすると興味も無いのかも?  彼にしてみれば、いったい何のためにそうするのか? と不思議がっていると思います。 

さて、明日はさらにテラスの続き・・・・・







 








  



 







 
by tomomato | 2012-06-28 05:14 | 石の家の話 | Comments(10)
Commented by oz55mama at 2012-06-28 07:17
tomomatoさんおはようございます。
家作りは、人生の一代イベント。こだわりますよね〜まして歴史的な建造物のリフォームとなると、新築の何十倍もの神経をつかうはず。そのこだわりが、景観を守る事にもなりますよね。
どんな、家になって行くのか本当にたのしみですね。お二人の頭の中では、完成しているでしょうから、ダニエル君の作業もどかしいかも。完成図のスケッチを描いて見せたりして(笑)
Commented by tomomato at 2012-06-28 07:26
oz55mamaさん、有り難うございます! こちらはまだ夜、日本はもう朝なのですね!   ダニエル君は、本当に素晴らしいのですが、 やはり家作りも好みの違いですよね! (^0^) ここらあたりの家は、皆きらきら新品に改装されています。 そうではなく、昔の景観を守ったまま改装するという考えは、やっと最近ぼちぼち出て来たみたいです。  でも、日本でもそうですよね。景観を保って美しくするには、その分体力もお金もかかるし、 それよりもセンスの問題もありますよね。 家は住めれば良いと考える人にとっては、私たちがやっていることはばかばかしいかも? (笑) スケッチを描いてみせても、やっぱり感覚は違うから、違う物になってしまうのですよねーー。
Commented by africa at 2012-06-28 10:44 x
うん・・・ダニエル君の融通のきかなさ、スペインでもそうだからよくわかる。イメージできないんでしょうね。んで、まっすぐじゃない壁で、隙間いっぱいあいて、植物が生えてきちゃうのを、「好む人」がいるなんてのも(笑)そのわりに、格好よくできたじゃないですかっ。いや~、茂みに埋もれてる段階で嫌になりそうなのに、よくぞここまで(尊敬)
Commented by Saki at 2012-06-28 15:24 x

>お願いだから完璧にしないで、適当に力を抜いて、 真っすぐには!ならないように!!

わははは。ウケました。私も太郎にそう言うのですが、無理なんですよね〜。
この手のタイプの職人気質の人は、完璧にやる方がラクみたいです。
かくいう私も、まっすぐがラクなタイプだったりします。
有機的なフォームも好きですが、やろうと思ってもなかなか出来ないんですよ〜。

うちの石仕事に関しては、自分たちの仕事が気に入っていますが、
それも石がいろんな形、色だったからでしょう。
太郎には、大きな石を積んだら、その周囲にはあえて小さめの石を入れろ、
としつこく指示しましたが、すごく嫌がられました。
ダニエル君みたいに、四角い積みやすい石ばかりを選べるなら、
きっちり積んじゃいそうです(笑)
ちょっと積みにくそうな、見た目の悪い大きさもバラバラの石ばかりを渡して、
それで積んでもらったら丁度良いかもしれませんね。
やっぱり嫌がられるかな。ふふ。
Commented by tomomato at 2012-06-28 16:09
africaさん、 本と自分でやるのも大変だし、 人に頼むのもたいへんですよねーーー。  これから植物等を植えて、 有機的にして行きマース。(^ー^)
Commented by tomomato at 2012-06-28 16:12
sakiさん、 ははは、 分かっていただけましたか〜〜〜(^0^)私もね、実は、自分でやったら真っすぐにしてしまうタイプです。kumatoさんは、逆。  
普通は、大きな石を入れたら小さな石を入れて安定させて行くのですが、まず第一に、 これらの石は花崗岩でスパッとくだける所は四角いのですが、な、な、なんとダニエル君、 几帳面に四角くない石もいちいち四角にトンカチで砕いて四角くしてました!! (爆) だって、もとからあった石、 こんなに四角くなかったもん。私が元からある壁を崩した時!?? (涙) 
でも彼にしてみれば、 これは最高にルスティコだそうです。 すごいね。
Commented by saki at 2012-06-28 20:01 x
大きい石と小さな石のコンビは、日本もヨーロッパも一緒なんですね。
他にも色々と共通点があって面白いです。
それにしてもダニエル君、一生懸命四角に加工してたんですか?!
そ、それはなんともご丁寧な。なんて生真面目な。

そんな彼の一生懸命さが伝わってくる良い石積みですね。
古い家が新たな石積みによって、息を吹き返した感じで素敵。
写真じゃなくて、生で見てみたいです。
さらに植物が加われば完璧ですね。いいな〜。
これからが楽しみです。
Commented by tomomato at 2012-06-29 06:05
sakiさん、本当に、 いろいろなことで昔の人の生活は、日本の昔の生活と共通点があって面白いです。 生活の知恵というのは案外、 同じような物なのかもしれませんね。 
ダニエル君、 本当に一生懸命な若者で、気持ちがよいくらいです。 ごまかしとかも全くないし、 だれた所が無い。 きびきびと走るように行動していて、体育会の若者みたいです。 
植物は、ちょっと気長に構えないと行けませんね。 (^ー^)私も楽しみです。 いつか、生で見にいらして下さい。
Commented by shigezo09 at 2014-01-15 20:31
日本ではドライウオール/野面積みは非合法です、たとえ国宝の城壁だろうとコンクリートをやってから「飾り」の石を積みます・・・この国では伝統的な構造・工法は官僚(国土交通省ね)に否定されてます、一般には知られてないですが本当のことです。世界で最も進化し洗練された木造や石の礎石技術が非合法なんで「なんちゃって」をさせられます。彼ら官僚は文句を聞く耳をおもちでないです。最高学府を出た人間が一番厄介ですよーん。
Commented by tomomato at 2014-01-15 21:24
Shigezo09さん、 え〜〜 それってひどすぎ!!  どんなに頑張っても、 石を表に貼付けたものと、 ドライヲールでは全然仕上がりが違うんですよね。 建築物が’うそ’をつくのは全体の建物の質を落とすし、 良くないと思うんです。   (自分ちもやったけれど)  (家自体がドライヲールですが)   哀しいなあ・・・・


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